今年もいよいよ師走ですね。結局6月に支部長に就任してから、皆さんとほぼ会うことがないままに、12月に入りましたが、来年も当分この状況は続きそうですね。先月は、あまり動きが無かった月でしたが、今月も委員会を中心に動いていきますので、あまり大きな動きはないと思いますが、今年も残すところ1カ月、お付き合いください。
12月3日
今月最初の委員会は広報委員会でした。広報委員会では、現在近畿支部のウェブサイト更新ならびに紙媒体の復活を目指して、奥和田委員長を中心に動いてまいりました。昨年に比べてメンバーも増えたことで、広報委員会もウェブサイトと紙媒体をそれぞれのワーキンググループに分けて、議論を進めています。ウェブサイトはタイムリーな情報発信と、魅力的なサイトを目指して動いています。紙媒体は、来年の4月頃を目途に発行できるように動いていますので、楽しみにしておいてください。目指しているのは20ページを超える充実した内容の小冊子でJIA東海支部が出されているようなものだそうです。奥和田委員長が非常に力を入れておられるので、出版まで応援したいと思います。そして、できれば色々な意見をいただけると幸いです。一つでも多くの意見を取り入れながら進めた方が、より多角的な角度から見ることができると思いますので、来年もご協力ください。
12月8日
本日は総務委員会でした。総務委員会では、若手会員を中心に各世代の会員の増強、オンライン課金システムの構築、財源づくり、入退会者の報告、本部総務委員会報告等を中心に話し合われました。特に会員の増強は今後も継続的な課題として、ずっと話し合われていく議題だと思います。次回の委員会では、数名の組織事務所の若手の方を招いて、彼らの本音に迫ってみようということになっています。どうすれば、会員を増やすことができるのか?それぞれが違う考えをもっているかと思いますが、できるだけ多くの意見を引き出せたらと考えています。オンラインの課金システムは急務です。これを早く確立しないと、いつまで経っても、無料オンラインセミナーばかりで、財源確保に繋がらないので、早くなんとかしたいところです。本部では、国の動きに合わせて、JIAも印鑑を無くす方法を模索し始めました。まだどうなるかは、分かりませんが、先ずは第一歩です。会員の種別についても、再確認がされています。正会員、専門会員、ジュニア会員、法人協力会員と色々ありますが、それぞれ規定がありますので、詳細を知りたい方は、事務局へ問い合わせてみてください。ここで、それぞれを説明をしているとかなり長くなってしまうので…。
JIA近畿支部ウェブサイト JIA会員種別
https://jiakinki.org/jk2024/kinki/wp2022/entryinfo/index.html
12月9日
本日は夕方から協力会委員会でした。新体制からスタートしたカタリストについて。これは、正会員と協力会員が対談形式を取りながら、互いをもっと知ること、また双方のアピールの場になっているもので、これからも続けていきたいと思いますが、できれば普段積極的に活動をしていない正会員や協力会員に出てもらえればと考えています。広報委員会でやっていますが、近畿支部ウェブサイトの刷新の中に協力会員企業の紹介ページを設けようとしているので、その進捗状況も報告されました。協力会員の意見も反映されるように、今年から広報委員会に協力会員のメンバーも入ってもらっていますので、協力会員の意向が反映されていくものと期待しています。その他にオンライン交流イベントや企業オンラインリレー等、色々と協力会員と正会員が交われる機会を増やそうとしてますので、正会員の皆さまも協力会員の皆さまも是非ご協力ください。今後協力会員の専用メルマガの発信等も検討していくことになりますので、楽しみにしておいてください。その他、基金の申請が今年は1件しか無かったことなど、まだまだ課題も沢山ありますので、今後ひとつひとつ解決していきたいと思います。コロナでなかなかFace to Faceでできないのが歯がゆいですが、まだしばらくの我慢ですね。
12月14日
新聞に大阪・関西万博の予算が600億円増額されるという記事が載ってました。その内訳として、暑さ対策のミストやトイレなどの整備に320億円、迎賓館に併設する日本庭園、レストランや物販施設などの整備に110億円、会場のメイン通りに設置する大屋根の設計変更に170億だそうです。これらの増額の要因として人件費や建築資材の高騰、会場デザインの変更などが挙げられているんですが、会場デザインがどのように変更されたのか知っている人はいますか?その他、万博会場がどんなデザインでトイレがどんなんで、とか具体的に説明できる人はいますか?我々関西在住の建築家が知らぬ間に他人事の様にどんどん万博計画は進み、何もできないまま指をくわえて見ているだけというのは、なんとも悲しいと思いませんか?藤本壮介さんだけではなく、(それ自体もなぜ関西の建築家ではなく、東京の建築家なのか?なぜ宮城もその他の地域も、どこもかしこも東京の建築家がやってきて、全てかっさらっていくのか?今一度考えるべきではないでしょうか?)関西在住の建築家の多くが万博に関わり、何かしらの痕跡が残せないものか?それでこそ、1970年の大阪万博のようなワクワク感が生まれるんじゃないんでしょうか?そんなことを感じました。
12月15日
本日は本部理事会がありました。いつも通り、11時半スタートで13時まで勉強会。30分の休憩を挟み、13時半~16時半まで理事会。長丁場です。本日の勉強会は「不動産激変~コロナが変えた日本社会」と題してオラガ総研株式会社の牧野知弘さんにご講演をいただきましたが、この内容が非常に面白かったというか、勉強になりました。数字上のデータを使ったプレゼンなので、説得力がありました。その中で子供~50歳代までは殆ど死亡・重症化しないことを挙げ、この現役世代の行動規制は果たして?ということ、今後の経済への影響、職場環境(集中から分散へ)の変化、それに伴うオフィス市場の変化、住環境の変化、新築・中古マンション市場の動向、宿泊(シティーホテルからリゾートホテルに至るまで)・飲食業の今後等、多岐に渡りデータを元に説明をいただきました。来年も当分コロナの影響を受け続けるだろうと思いますが、アフターコロナ社会は人々の価値観を大きく変え、激変するんだろうと思います。果たして、どんな一年になるんでしょうね…。
12月18日
本日は午前中に来週の役員会に先立って活性化戦略会議を行いました。議題は以下の通りです。事業助成審査、オンライン課金システム導入、来年度事業計画ならびに予算案、来年度支部総会ならびに支部大会、事務局会議室の活用法(密閉性が高い事務局そのものについても)、市長訪問時の戦略、ラーニングサロンの講師費用、万博へのアプローチ、JIA年鑑(協力会員の方から年鑑を貰えないのか?という意見を受けて)。この活性化戦略会議は、正副支部長と各地域会長が出席します。そこで、役員会で話し合われる議題の多くを事前にシェアしておくことで、役員会をスムーズに進めようという趣旨の元、開催しております。これはなかなか効果的で、井上前支部長時代から行われているようですが、現体制でも継続しております。やはり、ここは日本人、事前の「前さばき」というか情報共有は大事ですね。
夜は、本部国際委員会主催のイベント「越境建築家たちとの対話シリーズ」と題したシリーズセミナーで毎回さまざまな国で活躍するクロスボーダーアーキテクト達にフォーカスし、自身の活動について語ってもらってます。そして今回はポルトガルで設計をされている伊藤廉さんでした。タイトルは「ポルトガルにおける建築設計」です。伊藤さんはアルヴァロ・シザの事務所で働き、その後ポルトガルで独立をされた建築家です。ポルトガルの職人さんは意外にも細かな仕事をきっちりしてくれるようで、伊藤さんの日本的な繊細的なディティールもきっちり作られていることに驚きました。また、空間はポルトガルの陽を十分受けつつもどこか日本的な要素も感じ、素直に気持ちの良い空間だなと思いました。伊藤さんは、最近「ポルトガルの建築家アルヴァロ・シザ」という本も出されておるので、今度買おうと思います。この本部国際委員会主催のイベントはまだまだ続きます。次回はアメリカでBIGの事務所で働くユウ・イナモトさんをお迎えして1月22日に「つなげる仕事」(仮)と題して講演をいただく予定ですので、是非皆さんも聴講してみては如何でしょう?
JIA国際委員会主催 Webinar (jia-intl.org)
https://jia-intl.org/webinar/web001/
12月21日
本日はイレギュラーな時間から学生委員会に参加しました。12時~13時の間に今年新たに創設した学生委員会が開催されました。学生の参加者はまだまだ少なかったですが、今後少しずつ認知度が上がり、大勢の学生が参加することを願っています。さて、テーマですが、「JIA内での学生の活躍の場の創出」ということを中心とし、それに関連して、学生の関心ごとなどをヒアリングすることができたと思います。毎年開催されている卒業設計コンクールの入賞作品が近畿支部のウェブサイト内でアーカイブ化されていないこと等も指摘を受けて初めて聞くような内容で、ハッとさせられました。その他にも問題や課題が見えた有意義な第1回会議でした。
そして、午後からは役員会です。役員会では、活性化戦略会議で話し合った内容に加え、本部理事会報告等をベースに議論をしました。今月のラーニングサロンでは、クラシックホテルを中心にホテルに関する著書を沢山出されている山口由美さんにご講演をお願いしました。こんな時だからこそ、ホテルに行った気分でも味わおうと思いました。山口さんの著書「帝国ホテルライト館の謎」などは絶版で既に手に入らないようです。先日世界ふしぎ発見というテレビ番組で話されていて、その続きが聞きたくてお呼びしましたが、ライトに関する裏話が色々と聞けて、時間が全くタリエセン…じゃなくて足りませんでした。タリエセンだけでも1時間話せるということでしたので、機会があれば、またお呼びしたいと思います。
旅する作家 山口由美 Yumi Yamaguchi 公式サイト
http://yumiyamaguchi.com/
そして事務局の移転。誠に悩ましいところですが、今時窓が無いというのはやはり色々と対外的にも問題があるようで…。
12月23日
本日は都市デザイン委員会主催の市民大学講座2020まちづくりセミナー「建築とまちの価値を高めるデザインレビューを考える」に参加しました。冒頭での支部長挨拶を頼まれたためですが、オンライン配信のこのセミナーには全国から70名強の方が参加され、テーマの関心度の高さを感じました。東京から坂井文さんにもご参加いただき、「英国CABEと建築・都市デザイン」というテーマでご講演いただき、さらには関西からもパネリストとして、各分野で活躍されている方々がいらっしゃいました。今回の講演を聴講し、感じたことは、デザインレビューというのは建築のみならず、都市デザインと言いますか、街づくりそのものに関わっていくべきものであるということ。まちづくりというか、街のマスタープランがしっかりしていれば、多少建築が悪くても、それなりに見えるのではないかと思います。また、逆にどんなに優れた建築であっても、その周辺外構、つまりその建築が建つ環境そのものがコントロールされていなければ、元も子もないということです。その上でデザインレビューというのは、建築とまちの価値を高めるには、かなり重要な要素であることは間違いないと感じました。
JIA市民大学講座2020まちづくりセミナー 建築とまちの価値を高めるデザインレビューを考える
https://jiakinki.org/jk2024/kinki/wp2022/pickup/13133.html
12月24日
昨日の建設通信新聞に「次期国会に建築士法改正案」という記事がありました。重要事項説明等をIT化し、さらには設計図書等の押印の廃止も併せて、オンラインで重要事項説明ができたりするようになるらしく、それは大いに賛成したいところ。さらに建築確認申請の図面への押印を不要にすると書いてあり、その趣旨として確認申請業務をオンライン化することが狙いであることが読み取れるんですが、実際の申請業務には、設計図書だけではなく、役所の書類や検査機関の書類など、押印をして、さらには各課を持ち回り、協議をしないといけないという、かなり邪魔くさい手続きがある訳で、死ぬほど役所に通わなければならず、それらが廃止されない限り、この押印廃止というのは、どこまで実効性があるのか、少々疑問に感じるところです。
12月25日
毎朝新聞を読んでますと、連日のようにどこかの公募型プロポーザルの実施記事が載っています。いついつまで参加受付とあり、その事業者のサイトへいき、参加資格を調べると、過去に同規模の建物を設計したことがあることとあります。ほぼこれです。これでは、経験のない設計者は一生チャンスが回って来ません。逆に過去に同規模のものを設計したことがない人を参加要件にすれば良いんじゃないかと思います。そうやってチャンスを与えるべきだと思います。とにかくほぼ毎朝、プロポーザルの記事を見て、喜び、そして落胆するということを繰り返してます。そんな中、時々素晴らしい!と思うこともあります。それは、今月半ばの記事に神戸市のJR灘駅前広場の概略設計が紹介されていたもので、公募型プロポーザルでE-DESIGN・畑友洋建築設計事務所・モビリティーデザイン工房JVを特定したというものです。街全体の美術館化をテーマに提案されたものですが、副支部長である前田茂樹さんがさまざまな地域でされているプロジェクトもしかり、y+M design officeの六甲牧場のトイレしかり、小さな事務所でも小さなプロジェクトから、またはJVなどで大きなプロジェクトなどへチェレンジしている姿は、逆境の時代を設計力で乗り越えようとしているようで、これこそ正に現代の建築家のあるべき姿なんだろうと感心します。(感心している場合ではなくて、自分も頑張らないといけませんが…)。正面突破でどうどうと仕事を獲得していく姿は建築家のあるべき姿であり、だからこそ建築家と名乗れるんだろうと思います。そのことを胸に刻み込んで来年も設計活動を続けていけたらと思います。
さて、私の事務所は実質26日の土曜日までで年内の仕事を終えます。6月から支部長に就任し、何とかここまで来ました。あっという間に12月を迎えた感じがします。この支部長通信も半年間書きましたが、まだまだ内容を改善していく必要があるなぁと感じています。来年はもう少し濃い内容にしていけたらと思います。それにしても、来年は一体どんな一年になるんでしょうね。コロナの影響はどの程度出るんでしょうか。大手組織事務所は、それぞれの社長インタビュー記事で、どこも今期は増収増益という風に答えていたように記憶していますが、個人事務所等はどうなんでしょう?12月は支部で多方面で活躍され、親しくしていた建築家が退会しました。個人的な理由ということでしたが、やはり心配です。まだまだコロナは続きます。そして、もっともっと厳しい時が迫っているような気がしてなりません。今年は恐らく多くの人にとって散々な一年だったかと思いますが、来年は皆さまにとって、良い一年でありますように、心より願っております。
半年間、お付き合いいただき、ありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
近畿支部 支部長 津田 茂
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