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  • 投稿:2021年4月17日
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Catalyst(カタリスト)第8回 FKKのLEDライン照明

こんにちは。JIA近畿支部広報委員(協力会員委員長)の延原です。
正会員と協力会員をつなぐ連載Catalyst(カタリスト)。
第8回は、このたび、新しく協力会員として入会されたFKK株式会社の長さん、中村さんと有限会社シンプレックス一級建築士事務所の山﨑さんを訪ね、FKKさんの会社、製品の紹介をいただいた模様をお送りします。

今年2月にJIAに入会いただいたそうですね。きっかけは何ですか?

実は昨年末、FKKの社長である川田が友人からセカンドハウス建築に際して相談を受け、「FKK ルミナスギャラリー」へ招待しました。その際に、井上久実先生(井上久実設計室)と共にご来場いただきました。住環境を対象とした「光」に関するFKK独自のさまざまな取り組みをご紹介させていただき、その際に井上先生からJIAへの入会をご提案いただいた経緯がございます。

住宅市場への取り組みをスタートしたばかりでしたので、まずはFKKのLEDライン照明や独自の活動・モノづくりを建築家の皆様に広く知っていただくことができないかと、協会に加盟させていただきました。そして同時に協会活動の中で、住環境における課題・ニーズをいただきながら照明としての付加価値提案ができればと考えています。

LEDテープライトに力をいれられているんですか?

FKKではLEDテープライトのブランド名称として「FLARE LINE」の商標を取得し、自社内で製品開発・品質評価・製造までを一貫して行っています。すべての製品は、研究開発によって培った独自の視点を活かして、製品完成品だけでなく、それに使用するためのLED基板や製造工法に至るまで、拘った設計開発をしています。特にFLARE LINEシリーズはLED基板とシリコーンチューブの一体押出成形工法を開発し特許を取得、専用の生産設備を国内自社工場へ導入いたしました。

FKKもLEDテープライトの製造を始めた当初は、LED基板と樹脂製チューブを別々に製造し、基板をチューブに挿入していました。この生産工程では長尺化に限界がありました。またチューブ内のLED基板が固定されないため、特徴である曲げて使用する際に発生する発光ムラ等、光品質に課題がありました。その他にも屋内向けに開発したこともあり、屋外耐候性や防塵防水性能も備えていない点や、製品自体の生産効率にも課題がありました。さらなる独自性を追求し、市場の評価を獲得するために、新たな製品開発および製造工法・設備開発、材料の見直しを行いました。その結果、LED基板と樹脂チューブを一体で押出成形すること、樹脂チューブの材料には耐候性に優れるシリコーン材を採用することで、既存製品の課題を克服しました。この製造工法・設備開発には構想からおよそ2年を要し、初めて製品の一体押し出しが成功したときの喜びは忘れられないと、開発責任者が言っていたのを想い出します。この設備は国内ではFKKにだけ存在し、工法特許も取得しました。

現在も継続して開発メンバーの自由な発想でさまざまな形状・仕様の試作を活発におこなっており、製品の独自性と品質確保のため日々改善改良の取り組みを推進し、そこで得たヒントをもとに、多数の特許・意匠登録も取得しています。

福知山に工場があるそうですが、国内で製造されているのですか?

FLARE LINEに関しては最終の製造・検査は福知山市内の昭和工場で一貫して行っています。製品に使用する部材は国内外から品質の確認ができ、安定的な供給が可能な独自の調達先から購入しています。先述のFLARE LINEの一体押出成形装置も昭和工場にございます。シリコーン材料の練り工程や、基板がシリコーンと一体になって成形機から出てくる様子は圧巻です。事前にご連絡をいただければ、工場見学も承っておりますので、機会をみて是非一度ご覧いただきたいです。

シリコーン混練工程

押出成形工程

現在、FLARE LINEの生産体制は昭和工場のみですが、同じ福知山に別の拠点工場が有り、そこで拡張工事をすすめています。将来的に生産拠点を複数確立することで、さらなる受注増への対応を可能とするとともに、災害やトラブル等が発生した際にも、生産が完全にストップしないためのリスクヘッジも検討しています。

LEDのライン照明など、弊社で設計している住宅などで使わせていただいておりますが、まだまだ上手く使えていないと思っています。

確かに住宅においてライン照明の果たす役割は、まだまだ主照明であるシーリングライトやダウンライト等の補助的役割が多い様に感じます。さまざまな要因は有ると思うのですが、FKKとしては是非積極的に使いたくなるようなLEDライン照明の提案がJIAの活動を通じて建築家・オーナーの皆様にできればと考えています。同時に、「こんなライン照明があったら!」といった住宅ならではのご要望も是非お聞かせ願えればと思っています。

今、なぜ住宅に力を入れようとしているのですか?

FKKでは商業施設を中心に多くのLEDライン照明を導入いただいている実績がございます。特に百貨店の化粧品売り場では、各化粧品メーカーが商品をディスプレイするために設置される什器や壁面のサインで使用する照明メーカーとして指定をいただき、ブースのデザインや商品をより良く魅せるための「光」を提供することで貢献しています。5年ほど前からは特にホテル向けの照明ニーズが増加しました。外国人観光客の増加による、インバウンド需要を狙った施設の建設ラッシュです。商業施設もその好影響を受けておりましたが、いつ止まるか、オリンピックが一つの節目になるであろうとの危機感もあり、2018年頃より住宅市場の開拓を進めました。

その気づきとしては、住宅市場に於いては、FKKが取り扱うような「ライン照明・フレキシブルライト」の認知が低いことでした。また、外国製の安価な製品の品質トラブル等、あまり良いイメージもなかったと思います。営業活動の中では製品サンプルを持ちまわり提案しますが、相手が照明のプロでないとその良さが伝わらない。この課題を解決したのが「FKK ルミナスギャラリー」です。

FKKルミナスギャラリー

FKKルミナスギャラリーでは住環境へのライン照明の新しい付加価値提案を目指して、「検証・提案型ラボ」として、内外装すべての照明を自社のライン照明で実装しました。照明で安全・安心な住空間・照明環境づくりを目指し、照らす事以外に「防災・防犯・防疫」といった新たな付加価値の提案実現へ向けて活用を推進しています。

ダイニング・キッチン

エントランス

FLARE LINEをさまざまな箇所に設置し、ライン照明自体をデザインとして取り入れている箇所も多数ありますので、是非来場いただき率直なご意見をいただければと思います。また夜間に停電が発生した際に「蓄光」により視界確保が可能な「蓄光機能搭載LEDフレキシブルライト」による防災照明や、紫外線を搭載した照明による衛生環境の提案等、今までにない住宅照明の提案もさせていただいています。おかげさまで昨年の竣工直後より多数のお客様に来場いただき、さまざまなご要望・ご意見をいただいています。

現場に合わせて細かい寸法で製作できるんですね?

FLARE LINE以外にもLED基板をアルミ押出材に組み込んだ「LEDラインモジュール」シリーズもFKKの主力製品の一つです。LEDラインモジュールに関しては製品寸法が27.5mm単位で長さバリエーションの対応可能で、配光や本体断面サイズの異なる9タイプのラインナップによって、設置現場に応じたサイズ・仕様で納品することが可能です。また標準ラインナップ以外の別注仕様対応もFKKの強みです。現場環境に応じてプリセットで調光が可能な簡易型調光器もございますので合わせてご検討いただければと思います。

今年は新たにLEDの光源演色性がRa95以上の「超高演色性」LEDライン照明の発売も予定しています。現行製品に比べて大幅に照射対象物の発色が向上する製品です。是非、洗面台のミラー照明やキッチン等で肌や食材の発色の違いを体感いただき、ご検討いただければと思います。

演色性が高い照明

演色性が低い照明

※写真はイメージです。

長さん、中村さんからの一言

長―今回は突然の申し出にお時間をいただきまして、誠に有難うございました。実際に山﨑さんとお話させていただく中で、FKKでは普通であると思っていること(製品寸法対応や調光対応等)が実は住宅設計の中で非常に価値を見出していただけることが分かり、大変勉強になりました。JIAに加盟させていただき、まだまだ住環境における照明の現状・課題に関しては学ぶべきことが多々あることも再認識することができました。これからもさまざまな活動を通じてFKKの活動・製品のご提案、そしてこれから目指すべき「光」の付加価値に関しての知見を深耕していければと改めて感じました。また、コロナ禍ではありますが、状況をみていずれFKKルミナスギャラリーや工場見学会の企画もできればと考えておりますので、その際には是非ご参加いただければと思います。

FKKでは今回お伝えさせていただいたほかにもさまざまな取り組みを推進し、一部内容に関してはウェブサイトで公開させていただいています。本稿と合わせて是非ご覧いただければ幸いです。

FKK ウェブサイト
https://www.fkk-corporation.com/ja/

中村―住生活環境において「心地よいあかり」は「心地よい生活」を生むものだと思っております。その心地よいあかりを一人でも多くの方に体感いただくべくFKKは間接照明・ライン照明で市場のニーズに答えていきたいと思います。商業・店舗照明出身の弊社が住宅市場でどこまで評価をいただけるか?JIAのお力を借りながら今後ますますFKKは加速してまいりますので何卒よろしくお願い申し上げます。

山﨑さんから一言

いつも間接照明の長さに合わせて照明器具を選ぶ際に、長さの組み合わせがうまくいかなかったりして、どこかで寸足らずになってしまっていたことが多く、逆に器具のサイズに合わせて家具を作ったりしていました。あと、スイッチではなく器具の部分で調光できる調光器も、スイッチで調光する必要はないが、眩しいのでもう少し暗くしたいという要望に対して対応しやすいなと。クライアントの細かい要望に対応するために、敢えて小ロットでも受注生産しようとされているFKKさんの商品をもっと早く知っていればという思いがありますね。同じ悩みを抱えている建築家の方はたくさんいると思いますので、これを機会に是非皆さんに知っていただけたらと思います。

編集後記

山﨑さん、長さん、中村さん、ご協力ありがとうございました。
約2時間半、たくさんFKKさんの製品見せていただきました。一番驚いたのは、1mm単位でカットできて、しかも斜めカットにも対応できるLEDのケースです。もう一つは、LEDの明るさを手軽に調節できる超小型調光器です。私も照明器具を扱っているので、提案の幅がぐっと広がりました。

このように、気軽に(公益社団法人の試みなので、なるべく、商売っけなく)、正会員と協力会員との日常や、協力会員情報を紹介していきたいと思いますので、投稿してくださる方(正会員、協力会員問わず)は、お知り合いの広報委員、もしくはカタリスト担当の延原(メールアドレス nobuhara@fujiwara-l.com)まで、ご連絡ください。お待ちしております。

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