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  • 投稿:2021年12月21日
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Catalyst(カタリスト)第16回 建物よりも長持ちする木の芸術 株式会社昭和洋樽製作所

こんにちは。正会員と協力会員をつなぐ連載Catalyst(カタリスト)。
今回は、まさにSDGsの時流に乗った美しい木の芸術と建築のコラボをご紹介!

お邪魔させていただきましたのは、株式会社昭和洋樽製作所のショールーム。

昭和洋樽製作所ウェブサイトより

取締役副社長の菅純二さんと、昭和洋樽製作所と長いお付き合いがおありでいらっしゃる株式会社日本設計の松尾和生さんにお話しをお伺いしました。(取材:東リ株式会社 中野健生さん、安田株式会社 仮家礼子)

菅さんと松尾さんはお仕事でのお付き合いが既に25年ほどになるそうです。

松尾さんが床の仕様で昭和洋樽製作所製品を検討する際に念頭に置かれるもの。
「100年以上持ってほしい。」

素材の印象も柔らかく、かつ、人の歩行に優しいのはこれ!ということで、さっそくコラボ作品をご紹介!

高知城歴史博物館です。多くの職人さんたちの技が集結した高知城門前の建築作品です。

自然光が交錯する重厚な人工物の影とやわらかな自然木の床。その中でさまざまな木(モク)が平行に並びながらもパズル模様をなし、奥まで連れて行ってくれます。

無垢なので足にやさしく、年を経るごとに一層美しく魅力を発揮してくれるとのこと。大きな博物館内を移動するにあたって「足に優しい床」は嬉しいですね!

アップで見ると…びっしり!柄が細かい!年月を経ても軽く磨くと元に戻るとは!

さて、この「びっしり」も昭和洋樽製作所ならではの特徴。元々が洋樽メーカー。「ウイスキーも漏らさない木と木を密実につなげる技術を持っています。自然木は乾くと隙間ができ、水分を与えると膨らむといった現象が起きるものですが、昭和洋樽製作所の場合はその特徴を生かしながら自社施工するのでトラブルを起こさない。だから床暖房も大丈夫。」(松尾さん)

そして、この「びっしり」な並びで厚みが15~20mmで構成されていることもあって100年経っても大丈夫!もはや「この美しく強い床をどの様にして次の世代に継承していくか」が課題。サステナブルな床ですね!

ここでもう一つの建築内装に使う技。天然木を建築に利用する場合、本来「燃える」材料の木を不燃処理して「不燃材」に。白華現象や潮解やらいろいろと課題が生じる製品がある中、昭和洋樽製作所のものはそれがないそうです。処理方法に工夫があるそうで。

さて、木はいろいろ。大人しい木からやんちゃな木まで。木の種類、柾目・板目、含水率等でいろいろな性格を見せる「生きている木」。

木の生きている側面を美しく見せたのが教会のコラボ作品。芦屋の教会の床の様に、研磨せずに木の表面の表情をそのまま並べることで、凹凸が美しい影を見せてくれます。そして、人々が長年踏みしめることで、角が取れ黒光りしてくる変化も見ることができる。
生きている木の独特な味の見せ方ですね。

現代建築に一言!

松尾さん 「木造建築では天然素材が多いため、それを活かすか殺すかは建築家次第。大切な素材を強引に下手に使うと割れたりする。 荒れくるう木の特性があれば、自由にしてやりながら建築に活かすのが大切。今の現代建築は、ビスやボルトで何もかも拘束してがんじがらめにするので割れてしまう。木造の建築技術は逃がす技術。寺社建築の組手等のように遊びがしっかりあると素材が仲良くする。遊びが無いとケンカしてしまい、割れたり反ったり。」

菅さん 「昔は床下の風通しを良くすることで木軸の耐久年数を50年以上持たせていた。無垢のテーブルもビスが動けるように止めると干割れしません。今はそういった工夫が無くなっている。その工夫が建物の寿命を延ばします。昔から伝わる木を生かす知識と乾燥技術や硬質塗装など新しい知識や技術を生かせば長期の持続化に寄与します。」

松尾さん 「天然の木って、水分を吸ったり吐いたりして、建築に使われた後も生きている。」

菅さん 「人間と一緒ですよね。」

松尾さん 「それを高断熱高気密にして空調し、天然木を中で使うからおかしくなる。だからベニヤばかりになってくる。それでアレルギーの問題が出て法改正…とか。在来の建築のままなら、接着剤もなく健康的。建築技術が進化したのか後退したのかよく分からない状態だ。」

菅さん 「もっとも、乾燥技術はとても進んでいる。昔なら伐採から3年5年とかかる乾燥期間を半年から1年で使えるようになった。 が、その材料を適材適所にはめてやることが大切。そう言えば最近は湿度調整できる空調機が市販されている。木は勿論、内装にとって重要。湿度設定で何年経っても全く割れずに使っていただける環境ができるようになった。湿度調整している美術館では200wの無垢材でも動かない。」

本来自然のものである以上、自然と同様の環境においてやるのが好ましいが、それができない場所でも技術の進歩でそれが実現可能になりつつあるといったことでしょうか。

時代の変遷とともに失われる技術があるなかで、「短命でない素材の永続性」(松尾さん)を1点ものの芸術と建築を通してどのように時間軸のなかで実現するか。

まさにぴったりなコラボですね!

最後に是非、見ごたえのある実績をいろいろご覧ください!

株式会社昭和洋樽製作所 ウェブサイト
http://www.showayotal.co.jp/casestudy/

最後に皆さんから一言!

菅さん:
短くても30年、長いものなら80年以上育った木材を使わせてもらえることに感謝しつつ大事に末永く使っていただける様に提案して行きたいです。自然からの恩恵を受けて、大きく育った多種な木材には適材適所が有ります。これを間違わないように使用すると末永く建物より長くご使用いただける材種も有ります。世界中から多くの材種を集めて建物の用途にあった商品をお勧めし、あらゆる建築に使っていただくのは営業冥利に尽きます。注意点は施工前の監理、施工方法と特に引き渡し後のメンテナンス方法です。水を垂らさないのがポイントです。

松尾さん:
人は天然木表面の木目を見ている様で、実は中の状態(無垢かどうか)を見極める目を持っています。天然木の床が、薄いのか厚いのかは人の心にも影響するものです。建築の素材は、本物ほど慎重に扱い、加工して木組みしてきた歴史があり、技術があります。しかし、現代社会の流れは、この大切な技術を失わせ、文明の力でねじ伏せようとしてきている様にも感じます。合理的で効率的で便利な現代社会の中でも、天然の素材はゆったりと人にとって一番心地よい本来あるべき姿を魅せるため、頑張ってくれています。今まで私が創ってきた建築たちに昭和洋樽製作所は真の力を吹き込んでくれています。昭和洋樽製作所は、SDGsやCNが叫ばれる時代、そもそもそれらに合致した本質の素材を適正に扱ってきた会社かと思います。菅さん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

中野さん:
積み木のおもちゃや木工細工に始まり、人間(いや生物かな?)にとって慣れ親しんだ唯一無二の素材魅力的な質感・存在感があり思わず触れたくまた歩いてみたくなり、細かな細工の表情を見るとなぜか子供に還った様な不思議なワクワク感さえ感じます。素材の魅力を人の技術で存分に表現されている昭和洋樽製作所さん貴重な体験でした。ありがとうございました。

仮家:
松尾さんから高知城歴史博物館のお写真を見せていただいた際、白状いたしますと…床材の凄さが全く分かっておりませんでした。今回のお話をお伺いして、昭和洋樽製作所の長年の経験と職人技が日本の建築文化においていかに貴重で時を越えて保存・維持・継承されるべきものかを知りました。また、昭和洋樽製作所の製品と技術がSDGsの趣旨に合致しているのは、「普段からの取り組み」の結果であることに大変感銘を受けました。全体として、雇用も含めた経済の在り方まで大変幅広く中身の濃い対談でした。十分にこの原稿に反映しきれない己の力不足が誠に申し訳ない限りでございますが、今後建築に入ったときに木を見る目が変わりそうで楽しみです。心躍るひとときを有難うございました!

このように、気軽に(公益社団法人の試みなので、ゆるやかに、商売っけなく)、協力会員情報や、正会員と協力会員との日常を紹介していきたいと思いますので、投稿してくださる方(正会員、協力会員問わず)は、事務局までご連絡ください。お待ちしております。それでは、次回をお楽しみに!

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