支部からのお知らせ

  • 投稿:2009年1月20日
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【新連載】子供と考える建築

「建築と子供たち」 in Kyoto
子供と考える建築(木戸口氏顔写真)
執筆者:木戸口浩之
(まちづくりや)
子供と一緒に建築を考えるという活動があちらこちらで取り組まれるようになってきました。
そのうちの一つに「建築と子供たち(Architecture and Children)」という活動があります。
これは、アメリカのNewMexico大学のAnne Taylor博士により開発されたものを、日本建築学会(AIJ)と日本建築家協会(JIA)が1990年にわが国に紹介したものです。
小中学生向けに作られたカリキュラムで、学校教育のなかで建築という素材を使って創造力を養うことを目的としています。
京都会では、2003年度に当時京都会の会長であった國吉さんが「建築と子供たち」の活動に取り組むことを提案され、これまでに模型作りや街歩きなど7回の活動を行っています。
ここではその活動の概要をご紹介したいと思います。


その前に、子供たちと建築を学んでいて感じたこと。
人間の生活の基本である「衣食住」の「住」について日本の小中学校ではほとんど何も教えていないのではないか。
美しい街並みが形成されるためには、建築家の頑張りだけでは成し得ないわけですから。
京都会では、最近、教育基本法や環境基本法のような理念法が建築分野でも必要ではないかという議論をしています。
建築に関連する法律の上位に位置する「建築基本法」みたいなものがなくていいのかと。
理念法ができれば、小中学校で建築を教えるカリキュラムもできてくるに違いありません。
では、京都会で子供と考える建築の取り組みを紹介したいと思います。
記念すべき第1回は、2004年2月に京都市の市立紫野小学校で行いました。
テーマは「自分の部屋だけの家」です。子供たちひとりひとりが設計図を書いて模型を作りました。
5年生全員、50名の子供が作品を残しました。平日の授業として、丸1日を費やしました。
一人の建築家がだいたい3名くらいを相手に。
無事終えたあと参加した京都会のみなさんは疲労困ぱいし、「3日分の仕事をした」と笑顔で話された方が印象的でした。
第2回は2004年5月に西陣中央小学校で京都の町家の街並みを見て歩きました。
こちらは平日の授業ではなく土曜日に参加者を募って行いました。
参加した子供は19名。このあたりは、町家が多く残っている地域で、参加した子供のなかには町家に住んでいる子もいて、「虫籠窓(むしこまど)」を知ってたりしました。
子供たちには「100年先まで残したいと思う街並みを写真にとってきてね」と課題を出しました。
第3回から第6回は、財団法人京都市景観・まちづくりセンターと共催で京都のまちあるきを行いました。京都市内の小学生を対象に公募で参加者を集め、25名くらいの子供たちと京都の街並みを散策しました。
第3回は三条通り。三条通りは町家や明治期の建築、現代建築などがモザイクのように集まる通り。
第4回は四条通りと御池通りの間。錦市場の生活や鋒町の文化、伝統工芸に触れる街歩き。
第5回は上賀茂神社周辺。社家町の散策です。
第6回は祇園。芸子さん舞妓さんの生活を訪ねました。
紙面の都合で三条通りの街歩きの様子をご紹介します。テーマは「三条通りひみつ発見」。
建物や道標など三条通りにあるいろいろなアイテムを紹介し探し当てようという企画。
例えば、国立文化博物館の壁面に使用されている大理石にあるアンモナイトを探すとか、昔この建物は時計屋さんで2階には大きな時計があった建物を探すなどなど。
あとは突撃インタビューで三条通りの印象を訊ねる。
気に入った街並みをポラロイドカメラにおさめて切手シートをつくる。こんなようなことを毎年行っています。
第7回は2008年に京都すまいづくりセンターのお誘いを受けて、2回目の模型作りを行いました。
夏休み期間中に2日にわたって行いました。定員20名で公募したところ約80名の申し込みがあり抽選で20名としました。初日は10時から12時までで、ガイダンスと設計の説明、設計図の作成、模型材料の説明。二日目は10時から12時半までで、模型の制作、発表です。京都会の見事なチームプレーで参加したお子さんや父兄も皆大満足のイベントとなりました。
毎年子供たちと一緒になって様々な活動をしていて思うのですが、子供たちに教えているという気はしなくて、どれほど教わることの多いことか。
倫理規定を守りましょうではなく、倫理意識を高めるためにどんな活動をすべきなのかを考えることが大切なように思います。
今年は全国大会が京都で開催されます。「建築と子供たち」の活動も全国大会の活動の一つとして何かやろうと企画しています。
是非、この機会に子供たちと建築を学んで下さい。ホントに楽しいですから。
建築と子供1
第1回「建築と子供たち」in Kyoto(作品発表)
建築と子供2
第3回「建築と子供たち」in Kyoto(地図づくり)
建築と子供3
第5回「建築と子供たち」in Kyoto(切手シートづくり)
建築と子供4
第7回「建築と子供たち」in Kyoto(作品発表)

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