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建築家 出江潤(ボラ設計) 日時 2025年1月29日
参加者(青年委員会) 眞野サトル、池井健、福山亮介、西本寛史、北條豊和、田辺弘幸
オブザーバー(建築家) 阿曽芙実、高橋勝、原利行、邊見栄俊
今回は2018年にJIA近畿支部関西建築家新人賞を受賞され近作のメディア発表も多く、ボラ設計として浅野大輔さんと共同で活動されている出江潤さんの事務所を訪問・インタビューしました。
出江さん、今日はよろしくお願いします。こぢんまりとするつもりが出江さんの事務所で対談させていただけるということでオブザーバーの建築家も含めて大所帯になってしまいました笑。
1階のご友人がされているお蕎麦屋さんは打合せコーナーも兼ねていてますが建具や家具、ディテールに至るまで出江さんの拘りが感じられて、とても心地よいです。あと明るさも。。
ではインタビューを始めたいと思います。
事務所前で建物の特徴を説明する出江さん
〇建築家を志したきっかけ
出江潤さんが建築家を目指した背景には、幼少期の環境が大きく影響しているそうです。父が建築家であったため、建築が身近な存在であり、物心ついたころから自然と「建築家になることが当たり前」だと感じていたという。ほかの職業を考えたことはほとんどなかったそうです。
〇共同経営者・浅野さんとの出会いは
現在ともに事務所を運営する浅野さんとは、もともと友人の友人という関係で知り合ったそうです。その後、出江さんから「一緒に事務所をやらないか」と声をかけたといいます。「純粋に仕事ができる人で、一緒にやってもぶつかることは少ないだろうと感じた」と当時を振り返られました。実際は価値観の違いで相乗効果を生むことも多く、とても良い関係性を築いているとのことです。
〇独立当初の仕事はどんな感じだったでしょうか
独立して間もない頃は、主に店舗設計の仕事が多かったといいいます。小規模なプロジェクトから経験を積み、徐々に建築の幅を広げていったそうです。
〇古家を改装した事務所へのこだわり
出江さんの事務所は、古家を改装して造られています。この選択には、「新しい建築をつくるだけでなく、既存の建築を活かすことにも価値がある」という信念が込められているそうです。古い建物が持つ素材や歴史を尊重しながら、現代の用途に合わせた空間へと変えていくことに拘りを持っているといい、「建築は時間を超えて存在するものだからこそ、過去と現在の対話を意識した設計が大切」と感じているそうです。
〇ブロックという素材への着目
建築材料としてのコンクリートブロックに対して出江さんは特に関心を持っておられます。「ブロックは生産拠点から近隣で採取される素材で作られ、材としても重いので地域で消費される。実は地産地消の観点からも優れた、リサイクル可能でプリミティブな材料でもある。」と語られました。単なる建材としてではなく、持続可能性や環境への影響も考慮したうえでの選択だそうです。
〇これから建築家を目指す人へ
最後に、これから建築家を目指す若者へのメッセージをお聞きしました。「好きなことをやったらいいし、自分が面白いと思うことを見つけて、それを自分なりに追求してほしい」。
建築という広いフィールドの中で、自分自身の興味を大切にしながら道を切り拓いていくことが重要だとこれから建築を目指す人たちにメッセージをいただきました。
1階の打ち合わせテーブルで参加者を交えて
今回の「THE DIALOGUE」では、建築家・出江潤さんの事務所を訪問し、その建築に対する情熱と思考に触れる貴重な機会となりました。出江さんの幼少期からの環境、共同経営者である浅野さんとの関係、古民家を改装した事務所へのこだわりなど、既存の建築物を尊重し、過去と現在を繋ぐデザインを重視し、持続性や当たり前の素材の可能性にも言及されました。和やかな雰囲気の中、参加者一同、出江さんの建築に対する考え方や言葉の一つ一つに引き込まれその場の空気感もあって有意義な時間となりました。
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