「日本建築家協会(JIA)全国大会京都2009」を振り返って
執筆者:木戸口浩之
(まちづくりや)
(JIA全国大会京都2009実行委員)
JIA全国大会京都2009が無事に終わってからはや4ヶ月。開催の1ヶ月前あたりから、ほとんど仕事そっちのけでたまっていたつけも、ようやく片がついてきました。自分の仕事に影響が出るというのは問題でしたけれど、多くの方々と準備から開催まで苦楽をともにできて、大成功に終えることができた充実感や満足感は、長い人生でそうそう味わえるものではないだろうなと。貴重な経験をさせていただきました。この場を借りまして、京都会の役員さんをはじめご協力いただきました京都会のみなさん、近畿支部や本部のみなさんにお礼を申し上げます。
JIA全国大会京都2009の一番の特徴は、京都会の手作りの大会であったことだと思います。企画立案から実施に至るまで、京都会のみなさん自ら動いていました。例えばエクスカーション。14コース実施しましたが、その全てが手作り。コースの設定、先方への依頼、昼食の段取り、集合場所の設定、当日の案内などなど。非公開の茶室や庭園などのコース設定ができたのも手作りならではのこと。とはいえ、慣れない段取りで当日、ご迷惑をおかけしたことも多々あったとは思いますが、大変満足したというお声もたくさんいただきました。
この手作り、実は大会を成功させた最大の要因だったのではないかと思っています。段取りや手配、調整などなどやるべきことが多くて辛く苦しい道のり、責任が自分にかかってくるストレスに耐えなくてはならないことなど、大変ではありましたがやっていてこれが実に楽しい。30人くらいの建築家が喧々諤々やりあって毎週のように打合せ。時間とも戦いながらの毎日。不思議なもので、企画内容がどんどん充実していき、全員が盛り上がっていくんです。多分、このパワーが参加された方にも伝わっていったんじゃないかと。
この手作りをやり遂げられたのは、若手建築家の活躍があったからだと思いました。全てのイベントの調整、時間管理、正確で早い情報伝達に大活躍だった岡田さん。フライヤーからポスター、大会パンフレットなどの広報ツールの製作に緻密に対応していただいた後藤さん。ポスターなどのデザインやイベントの企画に才能を振るっていただいた長谷川さん。会場レイアウトや「子供たちがつくる現代鉾」でキレのある提案と実践をしていただいた畝さん。やはり、若手建築家、女性建築家の行動力がこの大会を支えてくれていたと確信しています。
私が中心的に関わったイベントは「子供たちがつくる現代鉾」でした。京都市内の7つの小学校から8グループ、合計約100名の4年生から6年生の児童と、軽自動車ほどの大きさの現代鉾をつくって会場の岡崎公園周辺を巡行しようという内容です。各グループは10名ほどの小学生と建築家2名、専門学校生2名で構成しています。夏休みに各小学校でどんな鉾をつくりたいか、どんなデザインにしたいかといった検討をはじめ、大会4日目にみやこめっせの展示会場で現代鉾を仕上げ、巡行しました。
ちょっと想像がつきにくいかもしれませんが、壮大なプロジェクトで最後は感動の涙もありました。詳しくはビデオ映像を製作しましたので、そちらをご覧下さい。近畿支部事務局にDVDがあります。当初、小田さんの名案にとびついたもの本当にこんな企画が実現できるんだろうかと。萬野さんが試作鉾を作られて、やれるかなと。加藤さんが事務所を改造してまで打ち合わせの環境を整えていただき、最後は畝さんの情熱でなんとか乗り切れました。1番鉾が会場を出るとき、歩道にびっしり並んだ三脚に思わず、合図の声が詰まってしまいました。
いよいよ来年はUIA2011東京大会。関係者のみなさんは、日夜、大変なストレスを抱えて過ごされていることでしょう。どのようなイベントが企画されるのかまだ詳細は聞こえてきませんが、主催する側も参加する側もともに楽しめて充実感のある、そんな大会となることを願って止みません。最後になりましたが、JIA全国大会京都2009の舞台を整えていただいた道家会長をはじめ、國吉さん、荒川さん、役員のみなさん、ありがとうございました。
■JIA全国大会京都2009 公式ホームページ(大会内容等を掲載しています)
http://www.jia-kyoto.org/taikaikyoto2009/
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