支部からのお知らせ

  • 投稿:2008年10月10日
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【特集】大阪地域部会発足に期待

大阪地域部会発足に期待
2008秋号 特集顔写真
執筆者:榎 秀夫
(たぶ・ふぇろーず)
■地域の建築家
少し大袈裟ですが、地域文化の創造者或は継承者として、些細なことでも職能人として、地域に役立ちたいとおもっています。たまたま地区在住の弁護士と建築協定の立上げに協力しました。が他の協定では法律や建築の解る人が居らず運営に困っていました。地域コミュニティには、行政との交渉や地元の調整にプロの能力が必要になります。
ここでは日頃判らないことを数々教わりました。プロの多くはこんな体験を経て、地域に育つのではないでしょうか。未熟ですが日常を認められ、やがて地域文化の創造者・継承者として地域に迎えられ、育てられると感じました。
日頃に地域とのコンタクトを持つことが前提ですが、大阪では会員として地域活動をする機会は殆どなく、個人的活動にとどまり足が出ませんでした。


■吹田市での体験
以前、支部の対外活動委員会で谷口委員長のもと、吹田の浜屋敷で地元の行政・小学校の協力を得、小学生向きに「建築と子供たち」のイベントができました。「自分たちのまちを知ろう」というテーマで数回開催しました。各地域会からの参加もいただき十数名で実行、具体的にまちの観察に繰り出しました。
地元の評価もよく、次年度の開催を勧められましたが、残念な事に単発に終わりました。継続にはエネルギー不足でした。毎年の開催には地域会規模のエリアから、多数の参加が不可欠と思います。会員の学習に終わり、遠方から参加して頂いた方々には申訳なく思います。
JIAを知る協力者が増えましたが、関係を維持してこそ成果です。残念でした。
2008秋号 特集1
さあ!出発
2008秋号 特集2
子供たち報告の講評
■大阪の地域事情
大阪では支部事情があり、発足がのびのびになっていました。地域会の意義も、検討を重ねるほど気遣うべきことが多く、本部方針に係らず必要性の有無までも検討の対象になりました。地域に認知されない建築家の立場を改善するにはやはり必要でした。姿勢を外向きにすると、単純な事実に気付きます。
今まで我々がしなかったことを始めるだけのことです。従来のJIAは、建築士会や事務所協会と同様、会員向けの組織でした。地域会は「地域社会に向けて会員が活動する単位」と割切れば、活動の形が見えてきます。
その前に会員が置かれている現状を、厳しく見ておく必要を感じました。
■意外に知られていない職能
私どもの想いとは別に、地域では本当の姿をご存じなく、建築家にまで考えが巡らない様子です。著名人の様子から漠然とした建築家の仕事をイメージされるので、身近な需要には「無縁な人たち」でした。
近年は地域の環境・街並み形成・文化財・民家や町屋などに関心が持たれています。が残念な事に、経済優先の社会環境下では、それを創り・たずさわった人たちの役割までには、関心は少ないようです。土地に定着する建造物は、量産ではなく、一個作りでした。作事方や棟梁、建築家の創作力のたまものです。維持・伝承もこれらの人たちの力に依らなければ出来ません。
■建築家は浮き草?
通常、設計者は恵まれた立場のはずです。ところが企業化された建設工事では、勝負処を量産化に置いています。ここでは企画・設計も単に工程の一部です。裏では施工以前に激烈な技術・デザインの競争を展開。ときには著名建築家も登用されますが、ポスターや製品の箔付けに使われます。
風評では殆どが、謝礼か採算割れの下請け業務と聞きます。脆弱な営業力、広報力、組織力が原因です。例えれば一本釣の漁師、花なれば大河に浮かぶ水草の群落です。競うには市民の支持が欠かせません。
国交省は保身を図るばかりです。今回の基準法・士法改正に顕著です。市民にも事業者にも益はありませんでした。これで技術者不足が生じます。企業はコスト高を避け、組織内の人員削減を進め、外部設計者を囲い込みます。そのなかでは設計者の派遣社員化が心配です。これでは次世代が育ちません。
■希望をつなぐ戦略!地域社会へ浸透
それでは八方塞かと言えば、打開の可能性はあると確信しています。最近衛星都市では、心ある人達から行政の技術崩壊が、指摘され危惧されています。発注を期待する前に、さり気なく市民の側から支援に回る作戦は如何でしょうか。これまでJIAの活動で、希薄だった社会組織との関係強化を、実際に進める機会になります。
実際には地域社会への貢献があってこそ支持が生れます。地域社会の理解と支持なしには、理念も構想も空文です。地域社会に力点を置き、知られていない建築家の実像を、地域の人々に見せませんか。
地域会が、そんな活動の母体になれば、地域社会に「顕在化したJIA」の姿をアピール出来るのではないでしょうか。地域部会の発足に期待しています。
■事例など
補足
□仕事、三界になし
一般には、建築家といえば社会的に恵まれ「近寄りがたい人たち」と距離を置かれています。建築をどなたに相談されますか。以前の答えは、殆どが身内の関係者に、知合いの大工さん・工務店に、との答えでした。
最近はお金・ローン絡みで遠慮がちです。一方では、ハウスメーカーや銀行の営業マンに相談される方々が多いようです。展示場の役割も見逃せません。此処では鳥もちの様で、もうお任せしかありません。住宅だけでなく事務所の類も例外ではなく、相談相手がブランドに変わっています。
□作戦例①学校へ行こう!
例えば千里ニュータウンで、校区の小学校を、設計の立場からみます。新築時の資料は管理上、行政に保管されているはずですが、意外に学校・校舎について設計者とか、施工者のことなどは、児童・先生・父兄などに知られていません。もし調べが付けば住区の人たちも含めて建築を学ぶ楽しいイベントが工夫できます。その上構内ですから、安全に児童が活躍できる場も出来る筈です。
□作戦例②まちへ出よう!
同様に地域住民に欠かせない施設は、他にいくつもあります。工夫して関係を作れば、計画から使い方まで、地域の人たちと語り合う機会が出来ます。多くの会員の参加があれば、負担は分散し、逆に地域行政や市民への効果は強烈になります。

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